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コラム

ナラティブ ~コールが続く患者さまとの関わりを通して~

頻回なコールと様々な訴えがある患者さまとの関わりを通して、病棟介護職員が感じ学んだことをナラティブレポートにまとめましたのでご紹介します。

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 Cさんは口の渇きや痛み、おむつ交換などのコールが頻回です。Cさんはいろいろなことに敏感になっており、おむつ交換については職場全体で話し合い、訴えがあったら時間に関係なく交換することになりました。

 痛みについて看護師に相談したところ、保湿剤を優しく塗ってみてはと助言がありました。最初は意味が分からなかったのですが、それを塗ることで安心し痛みの訴えが消えたことから、一種のプラセボ効果のようなもの(プラセボ効果とは、実際には効果がないものであっても信じることで何かしらの改善が得られる心理効果)なのだと思いました。

 食事を「何食べても一緒」と積極的に召し上がらないのですが昔話など他愛もない会話をしながらゆっくり介助をしていると「どのくらい食べた?」と聞いてこられます。食べたいものをうかがうと「焼きのりが食べたい」とのお話があったので、看護師に相談すると口渇のため焼きのりは口の中にくっついてしまうから海苔の佃煮にとの指示がありました。高齢の患者さまにとっては焼きのりひとつとってもお食事をとるということは難しいことなのだと感じました。

 また、介助を終え離れるときに、Cさんはよく「もう行っちゃうの?」と聞かれます。そうしたことから、コールが頻回な理由には口渇や痛み等の理由だけではなく、寂しさや退屈な気持ちもあるのかな?と思いました。なので、夜勤のときに「これからおむつ交換に回ります。必ず回ってきます。」と伝えると「わかったよ~」と言ってしばらく待っていてくださいました。食事の配膳中にコールがあったときには、訪室して「今お食事を配膳しているので、配膳がすべて終わったら必ず伺います」と伝えたところ「わかったよ、急がなくていいよ」と言ってくださいます。今すぐに対応できない状況もありますが、終わり次第すぐに伺うことをちゃんと伝えることによって納得してくださるのだと思いました。   

 Cさんの訴えや希望を聴き、対応に悩んだときは看護師、介護士、皆で状況を共有し対応方法を考えること、そして他愛もない会話でもそれをすることによって患者さまの気持ちもほぐれ、信頼関係が構築されていくのだろうと感じました。

 コミュニケーションをとることの大切さは言うまでもありませんが、気持ちに寄り添い、個別性を捉えて丁寧に説明対応することが安心していただくために必要不可欠なケアだということを再確認しました。コミュニケーションの取り方は言語によるもの、非言語によるものなどいろいろありますが、その時の状況によって納得されるような対応を心がけています。